「車をとめてきて」と言われたとき、あなたならどの漢字を使いますか?
「止める」? 「停める」? それとも「駐める」?
実はどれも“正しい”漢字です。
ただし、意味や使いどころが微妙に違うんです。
たとえば、
- 「車のエンジンを止める」
- 「路肩に車を停める」
- 「駐車場に車を駐める」
- 「友人の家に泊める」
すべて「とめる」なのに、感じが違いますよね。
この違いにモヤモヤしたことがある人、実は多いんです。
とくに文章を書くときや、子どもに教えるとき、「これで合ってるのかな…?」と迷ってしまう場面もあるはず。
でも安心してください。
この記事では、それぞれの「とめる」がどんな意味を持ち、どんなシーンで使うのが正解かを、わかりやすく丁寧に解説します。
例文もつけて紹介していくので、今日この記事を読み終えたあなたは、もう迷いません!
「止める」の意味と使い方|基本の「止める」は動きを止める

「止める」は、もっとも基本的な意味を持つ漢字です。
意味としては、動いているものを動かないようにすることや、進行していることを中断することを表します。
たとえば、以下のような例があります。
- 車のエンジンを止める
- くしゃみを止める
- 話を止める
- ケンカを止める
これらの例文からわかるように、「止める」は単に“物理的な動作”だけでなく、“行為”や“感情”など抽象的なことにも使える非常に汎用性の高い言葉です。
つまり「止める」は、動き・流れ・行動などをやめるときに使う漢字です。
車に関して言えば、「動いている車をその場で止める」という意味では「止める」が適切になります。
こんなときは「止める」が自然です
- 車のスピードを止める
- ブレーキを踏んで車を止める
- 信号で車を止める
これらは、車を一時的に静止させる“動作そのもの”を表すため、「止める」がふさわしい表現となります。
「停める」の意味と使い方|車を一時的に止めるならコレ
「停める」は、「止める」と意味が似ているため、非常に混同されやすい漢字です。
しかし「停める」は、ある場所に一時的にとどめておくという意味合いが強く、特に乗り物や機械を一時的に止める場合に使われるのが特徴です。
この漢字は、電車やバスの「停車」や、車の「停留所」などにも使われています。
つまり、「動いていたものを、しばらくのあいだ静止させておく」というニュアンスを含んでいるのです。
こんなときは「停める」が自然です
- 路肩に車を停める
- 駐車スペースに車を停める
- 自転車を塀の横に停める
- バスが停留所に停まる
ここで大切なのは、「その場所にしばらく置くつもりがあるかどうか」です。
たとえば、信号で車を一瞬止めるだけなら「止める」、コンビニで車を置いて少し買い物をするなら「停める」が適切です。
また、「停める」は比較的フォーマルな場面や、公的な文章でも使われやすい漢字です。
看板や案内文などでも見かけることが多いのは、このためです。
「駐める」の意味と使い方|「駐車」の「駐」っていつ使う?
「駐める」という漢字は、日常ではあまり見かけないかもしれませんが、「駐車場」や「駐車禁止」などの言葉で馴染みがある方も多いと思います。
「駐める」は、車をある場所にしばらくのあいだ置いておくことを意味します。
特に、「正式に・目的をもって」車を止める場面で使われます。
この漢字の成り立ちを見てみると、「馬を特定の場所にとどめておく」という意味が元にあります。
つまり、乗り物(昔は馬、今は車など)を特定の場所に置いておくという行為に特化した言葉なのです。
こんなときは「駐める」が自然です
- 駐車場に車を駐める
- 契約している月極駐車場に車を駐める
- オフィスビルの敷地内に車を駐める
「停める」との違いは非常に微妙ですが、より“駐車”という行為そのものを意識した表現が「駐める」になります。
文章に厳密さを求めるようなビジネス文書や、公的な文書ではこちらを選ぶとより丁寧な印象になります。
ただし、実際の文章や会話の中では「停める」が広く使われており、「駐める」はやや堅い表現です。
そのため、読みやすさや一般的な認知度を重視するなら「停める」を使うケースが多いのが現実です。
「泊める」の意味と使い方|人や車を「泊まらせる」漢字

「泊める」は、「泊まる」という動詞の他動詞形で、人や物を一晩またはある期間そこに留まらせることを意味します。
「泊まる」は、自分自身がどこかに宿泊する場合に使いますが、「泊める」は誰かをその場所に泊まらせる、または自分の所有物(車など)をしばらく置いておくといった意味になります。
この漢字は、宿泊や滞在といったニュアンスが含まれているため、「止める」「停める」「駐める」よりも長めの滞在を前提とした場面で使われます。
こんなときは「泊める」が自然です
- 友人を家に泊める
- 宿に泊まれない友人を一晩泊める
- 遠方から来た親戚を実家に泊める
- 長旅の途中で車を港に泊める
車に関して使う場合はあまり一般的ではありませんが、船やトラックなどが長期間にわたって停泊する場合などに使われることがあります。
また、車を「一晩、どこかに置いておく」というような特殊な状況であれば、「泊める」という表現も成り立ちます。
ただし、通常の駐車や一時停止の意味では使われません。
したがって、「泊める」は宿泊や滞在に関係した“とめる”と覚えておくと混乱しにくくなります。
シーン別まとめ|こんなとき、どの「とめる」が正解?
ここまでで、「止める」「停める」「駐める」「泊める」の意味や使い方を見てきました。
しかし、実際の場面ではどの漢字を使えばよいのか迷うことも多いと思います。
そこでここでは、よくあるシーンごとにどの「とめる」が適切かを整理してみましょう。
一時的に車を停止する場合
→ 止める
- 信号で車を止める
- 急ブレーキで車を止める
ポイント:動作として「停止」することに重点があります。
数分~数十分、車を道端や施設前に置いておく場合
→ 停める
- コンビニの前に車を停める
- 駅のロータリーにバスを停める
ポイント:「その場に留めておく」という意味合いが強いです。
駐車場など、正式な場所に車をとめる場合
→ 駐める
- 駐車場に車を駐める
- 月極駐車場に自家用車を駐める
ポイント:「駐車」という行為自体を表現したいときに使います。
誰かを泊まらせる、長時間とどまらせる場合
→ 泊める
- 遠方から来た友人を泊める
- 旅の途中で船を港に泊める
ポイント:「宿泊」や「長時間滞在」を含意しているときに用います。
このように、どの「とめる」を使うかは、時間的な長さ・目的・対象によって使い分けることができます。
漢字が違えば伝わるニュアンスも変わってきますので、場面に応じて正しく選べると、文章の表現力もぐっと上がります。
まとめ
「車をとめる」と一言で言っても、「止める」「停める」「駐める」「泊める」と、場面によって使うべき漢字が異なります。
それぞれの漢字には微妙なニュアンスの違いがあり、それを理解することで、より正確で伝わる表現ができるようになります。
ポイントをもう一度振り返ってみましょう。
- 止める:動いているものを止める動作に焦点。
信号で止まる、ブレーキをかけるときなどに使う。
- 停める:短時間、ある場所に留めておく場合に適切。
車や自転車を道端に停めるときなど。
- 駐める:駐車という行為を強調したいときに使う。
駐車場に置くなど、やや形式的な場面に向く。
- 泊める:人や乗り物を長時間、その場に留まらせるとき。
宿泊や停泊を伴う場合に使う。
どれも「とめる」には違いありませんが、選ぶ漢字によって表現の丁寧さや正確さが変わってきます。
日常の中で漢字の使い分けに自信がないと感じていた方も、この記事を参考にして、状況に合った「とめる」を自然に使い分けられるようになっていただければ幸いです。