困難に立ち向かうとき、心が折れそうになることは誰にでもありますよね。
そんなとき、強い意志を表す言葉としてよく使われるのが「不撓不屈」です。
しかし、「不撓不屈」という言葉を聞いたことはあっても、正しい読み方や、どんな場面で使うべきか、きちんと理解している人は少ないのではないでしょうか。
たとえば、受験勉強や部活の厳しい練習など、くじけそうになったときに「不撓不屈の精神でがんばろう」と声をかけられた経験がある方も多いと思います。
そんなとき、この四字熟語の意味を知っていれば、より力強い気持ちになれるはずです。
本記事では、「不撓不屈」の読み方・意味・成り立ち・類語・例文について、わかりやすく解説します。
不撓不屈とは?読み方と基本的な意味

「不撓不屈」は、「ふとうふくつ」と読みます。
この四字熟語は、「どんな困難にも負けず、意志を曲げずに立ち向かうこと」という意味を持っています。
言い換えれば、「決してあきらめない強い心」を表しているといえるでしょう。
では、なぜこのような意味になったのでしょうか。
その理由は、それぞれの漢字にあります。
「撓(たわ)む」は、しなって曲がることを意味します。
ここに「不」が付くことで、「たわまない、曲がらない」という意味になります。
また、「屈する」は、「屈服する=負けてしまうこと」を指し、「不屈」で「負けない」という意味になります。
つまり、「不撓不屈」とは、「曲がらず、負けない」ことを強く表現した四字熟語なのです。
たとえば、オリンピック選手がケガを乗り越えて競技に復帰したとき、「不撓不屈の精神で努力を重ねた」と紹介されることがあります。
このように、非常に強い精神力や粘り強さをたたえる言葉として使われています。
改めてまとめると、「不撓不屈」は「困難に直面しても心が折れず、最後までやり抜く精神」を表す四字熟語だと理解しておきましょう。
不撓不屈の成り立ちと由来
「不撓不屈」は、古代中国の思想に由来する言葉です。
特に、儒教の教えや中国の歴史書に見られる表現から発展したと考えられています。
古代中国では、士(し)と呼ばれる知識人や武士が、どんな逆境にも屈しないことを理想の姿としていました。
彼らにとって、「心が折れない」「意志を曲げない」ことは、人間として最も大切な美徳とされていたのです。
この思想が、日本にも伝わり、武士道の精神にも影響を与えました。
日本では、特に明治時代以降、教育やスポーツ、ビジネスなどさまざまな場面で「不撓不屈」という言葉が使われるようになりました。
たとえば、戦前の教育勅語にも「不撓不屈」に通じる精神が説かれており、日本人の精神文化に深く根づいていることがわかります。
こうした背景を知ることで、「不撓不屈」という言葉が、単なるがんばりの象徴ではなく、長い歴史の中で育まれてきた価値観を表していることが理解できるでしょう。
不撓不屈の類語や似た表現

「不撓不屈」に似た意味を持つ言葉もいくつか存在します。
ここでは代表的な類語を紹介します。
まず挙げられるのが「百折不撓(ひゃくせつふとう)」です。
これは「何度失敗しても心が折れない」という意味で、「不撓不屈」と非常に近いニュアンスを持っています。
また、「忍耐強い」という表現も似ています。
困難を耐え抜くという点で、「不撓不屈」と共通しているといえます。
さらに「不屈の精神」という言い回しもよく使われます。
「不撓不屈」をもう少しやわらかくした表現ともいえるでしょう。
たとえば、部活動の顧問の先生が「君たちには不屈の精神がある!」と励ます場面を想像すると、どれほど強い信頼が込められているかがわかります。
このように、「不撓不屈」と同じような意味を持つ言葉はいくつかありますが、それぞれ微妙にニュアンスが違うので、使い分けができるとさらに表現力が豊かになるでしょう。
不撓不屈を使った例文
最後に、「不撓不屈」を使った具体的な例文を紹介します。
言葉の使い方を実際にみることで、より理解が深まるでしょう。
【例文1】
受験に何度も失敗したが、彼は不撓不屈の精神で努力を続け、ついに志望校に合格した。
【例文2】
大けがを負った選手が、不撓不屈の気持ちでリハビリに取り組み、見事に復帰を果たした。
【例文3】
歴史を振り返ると、不撓不屈の心を持った人々が、数々の困難を乗り越えてきたことがわかります。
【例文4】
彼女の不撓不屈の姿勢は、多くの人に勇気と希望を与えた。
これらの例文からわかるように、「不撓不屈」は個人の努力や、集団の強い意志をたたえるときにとてもよく使われます。
使う場面を正しく選べば、より深い感動を伝えることができるでしょう。
まとめ
「不撓不屈」は、「困難に直面しても、決してあきらめず、意志を曲げない」という強い心を表す四字熟語であることをお伝えしました。
読み方は「ふとうふくつ」、意味や由来も理解できたのではないでしょうか。
今後、自分自身を励ましたり、誰かを応援したりする場面で、「不撓不屈」という言葉をぜひ使ってみてください。